弘前れんが倉庫美術館は、明治・大正期、実業家・福島藤助により酒造工場として建設された「吉野町煉瓦倉庫」がはじまりです。福島はレンガ造りにした理由を「仮に事業が失敗しても、これらの建物が市の将来のために遺産として役立てばよい」と、当時語っていたといいます。1954年、日本で初めて大々的なシードル(りんごの発泡酒)の製造が行われました。
改修は、建築家・田根剛が手がけしました。「記憶の継承」をコンセプトに、建物の記憶を継承し、未来の時間へと引き延ばす建築に仕上がりました。光の角度によって刻々と移り変わるシードル・ゴールドの屋根は、美術館のシンボルとなり風景に彩りを与えます。
弘前れんが倉庫美術館が目指すところは地域のクリエイティブ・ハブ(文化創造の拠点)です。建築や地域に合わせたコミッション・ワーク(新たな作品制作)を重視し、完成した作品を展示。さらに収蔵するという一連の流れによって、弘前ならではのコレクションを形成しています。